3.デリー諸王朝時代
トルコ系イスラム教徒の人々は長年何度も侵攻を繰り返し、王国を造ってデリーに都をおきました。
以後多くの王朝が誕生し、この時期はデリー諸王朝時代と呼ばれています。この頃伝えられたペルシャなどの北西域の音楽の影響によって、デリーを中心に王朝の影響力のあった地域の音楽はしだいに独自の成長をしていきます。
13世紀から14世紀にかけて活躍した音楽家アミール・フスロウは インドの音楽とペルシャの音楽の融合を試み、新しいスタイルの声楽や器楽の形式やシタールなどの楽器を考案し、 また今でも演奏されている「ヤマン」「バハール」「カーフィー」などの ラーガもアミール・フスロウによって創作されたと言われています。
アミール・フスロウによって紹介されたと言われる声楽形式「ハヤール」は、 ムガール朝最盛期に隆盛してきた声楽形式「ドゥルパッド」にその位置を奪われますが、 現代ではまた逆転し北インドの中心的な声楽となっています。
またイスラムの宗教歌「カッワーリ」にも多くの作品を残し、 現代の多くの音楽家によっても多く取り上げられ唄われています。 「カッワーリ」ではウルドゥー語・ペルシャ語・パンジャブ語などによる歌詞で唄われます。